先生を辞めた~私の場合~

教員の仕事、大好きだけど辞めました!鬱(再発防止期)と育児とお仕事の話。

「先生」を辞める決断②~ある親子との出会い 前編~

 

鬱になってボロボロになったまま、退職も休職もできずに教員として働き続けました。

環境を変えたら治るかも!なんて期待して異動もしましたが、治らず。

 

退職申し出(数年ぶり2回目)を決意しました。

(これは過去の経験談です。今はパートさんとしてのんびり働いて、うつも再発防止期で穏やかに過ごしています。)

 

今日は、その決断に影響を与えてくれた親子について。

 

その親子と出会った頃の私

Aさん親子と出会ったのは、うつを発症した学校、地区で1番荒れた高校でした。

(大事なことなので毎回言いますが、生徒一人ひとり、根は本当にいい子です。)

 

持病をもって生まれた下の子の育休復帰の年、副担と時短を希望しましたがどちらも叶わず。

定員割れの学年の担任として、フルタイムで復帰しました。

旦那はバリバリ運動部顧問で、朝も晩も、土日も家にいない。

保育園児二人かかえて、しかも下の子は身体が弱い。

さらに荒れた高校あるある(勤務していた自治体では)の、教員が足りない状況。

めちゃくちゃ働きました。

眠れなくなりました。

あれよあれよと自律神経失調症になり、鬱になりました。

 

Aさん親子との出会い

1番大変だったその年に、担任として出会ったのが、Aさん親子です。

 

教員をしていた間、たくさんの親御さんと出会いました。

みなさんそれぞれ素敵な方でしたが、

私はこのAさん母の思いに、退職決断の背中を押してもらった気がしています。

 

もちろん詳しく書くことはできませんが、Aさん親子の家庭はとてもとても複雑な環境で、

中学校からも「児童相談所との連携あり」と申し送りがきていました。

(そういったご家庭がどうこう、という話ではなく、あくまでも1つのご家庭との出会いで感じたこととして書きます。)

 

Aさん自身は、穏やかで優しそうに見える、笑顔のかわいい子でしたが、次第に無断欠席や遅刻が目立つようになりました。

とはいっても、荒れた高校なので、朝のホームルームに全員揃うことなんてもともとないし、

半分くらい朝から居たら上出来!みたいな感じでしたが(^_^;)

 

Aさんは、夜なかなか眠れないせいで、朝起きられない、と話してくれるようになりました。

学校に来た日には養護の先生も交えて面談をしたり、休み時間に他愛もない話で声をかけたりと、理解を深めるようにしていきました。

 

Aさん母ともお話する機会がありました。

明るく、お子さんたちへの愛情をもっていらっしゃる素敵な方でした。

お喋り上手な方だったので、時間を忘れてつい私まで楽しく喋っちゃう、なんてこともありました。

 

親子の抱える苦しさが徐々に

でも、次第に分かってきました。

詳しく書けませんが、とても複雑なものを彼女自身も抱えていました。

 

入学からそう時間の経っていなかったある日、児相から連絡がありました。

Aさん自身が、助けてほしいと児相に連絡をしたんです。

原因は家庭での出来事。

一時保護されました。

 

高校生なので優先順位は低く、すぐに自宅に戻されましたが

Aさん親子との本当の意味での関わりは、この日から始まりました。

 

Aさん親子は、それぞれ、別の精神疾患を患っていました。

何人かいる他の兄弟も、同じ傾向があるようでした。

とてもとても複雑な問題が次々おこりました。

誰の言っていることが本当で、何を守ればいいのか。

私はあくまでもAさんの担任として、自分を客観的に置いておかなきゃいけません。

 

正直、その関わりの期間中に私自身も鬱と診断されていたので(もちろんAさん親子が原因なのではなく、たまたま時期が重なっただけです)

かなり苦しいものがありました。

感情移入をしてはいけない。

けど、どうしても考えてしまいました。

 

今までこの親子はどのくらい苦しんできたのか、

そう思うと、大げさでなく胸が張り裂けそうなくらい。

 

私は精神科医でもなく、児相職員でもなく、

その家庭の中のたった1人(+お母さん)と関わることしかできない、ただの担任教師です。

 

その立場で何をすべきなのか、

どこまで足を踏み入れるのか、

管理職や養護教諭、児相職員、ソーシャルワーカーさん、色んな人と話し合いながら進めました。 

 

みんな辛い

報道などであるように、児相も手いっぱい。

大きな問題がおこった直後以外は基本的に

「学校でよく様子を見て、何かあればすぐ児相に連絡してくださいね」と言われます。

 

荒れた高校なので、

担任していたクラスには、他にも児相に繋がりのある生徒や、警察にお世話になる生徒もいて、

私ももう、パンクです。

もちろん辛いのは生徒たち自身で、私はそこから目をそらしてはいけません。

 

でも、内心限界です。

だって、自分の子どもたち、放ったらかし。

さらに言うと、私だって鬱になって心身ともにボロボロです。

 

でも、どんな経緯であれ、引受けたからには担任としての仕事をしなければ。

いやでも、頑張りたくても頭が働かない。

そして、重たい案件ほど、精神的にとってもツラい。

毎日が葛藤でした。

 

 

さて、

そんな関わりの過程で、Aさん親子の姿から色々感じさせてもらうことがありました。

それについては、長くなるのでまた後編に。