鬱のまま働く⑫~全校生徒の前での失敗 後編~
前回の記事で、うつで頭が働かない中での全校行事の計画や、
当日の朝の苦しさについて書きました。
前回の記事はこちら⇩
その後いろいろあって、全校生徒の前で失敗し、怒鳴られることになります。
今日はその当日のトラブルについて…
1つ目のトラブルと自責
1つ目のトラブルは、お客様の到着が遅れたことでした。
生徒はみんな行事を始める準備をしている。
時間だって細かく設定しているのに、なかなか到着しない。
みんなピリピリし始めました。
私は確実に正しい連絡をしていた自信があったのに、だんだん私のせいのような気がしてきて辛くなりました。
言い方が悪かったかな。
(文書でも電話でもハッキリ確認していました。)
私一人で連絡までやっちゃったからいけなかったかな。
(他にも担当はいましたが、頼んでも丸投げされてやってもらえませんでした。)
時間の設定が甘かったかな。
(例年を参考に余裕を持って設定していました。)
当日の職員の配置が不足してたかな。
(会議で何度も打ち合わせして細かく決めたものでした。)
お客様の方の事情で遅れただけだったので、今となっては「別に私は悪くない。」って思える内容だったんですが、
そのときは全部なんでも自分が悪いと思う癖がついていました。
いや、それは今も全く治っていません。
誰に何があっても私がわるい。条件反射的にそう感じてしまいます。
開始、そして2つ目のトラブル(?)
お客様の到着遅れのトラブルで気持ちがガクンと落ちたまま、行事が始まりました。
ただでさえ鬱で頭はぼーっとしていて、人の視線が怖いというのに、
全校生徒とお客様、そして全職員の前で司会として進行していかなければいけません。
私が鬱だと知っている、ご自身もうつ当事者の管理職T先生が、事前に一緒に原稿を考えてくれていました。
なんとかそれを読み上げる。
逃げ出さず、泣かずに立ち続ける。
自分をできるだけ客観的にみて、間の取り方や声のトーンに気をつける。
普段だったら自然とできていたはずのこと1つ1つに自信がなくて。
それなのに、生徒たちはさすが最底辺校(一人一人はいい子なんですよ)。
騒ぎます。
2つ目のトラブルはまぁ、想定内でしたが、この、生徒の大騒ぎです。
こっちの気も知らず(当たり前か)、仲間内でお喋りに夢中になってゲラゲラ笑ってゲストスピーカーの話を邪魔します。
立ち上がって友達のところを歩き回ります。
止めなきゃ。
こういう時のための指導担当も決めているのですが、動いてくれる気配もありません。
講話をさえぎって生徒を注意する。
いつ?どのタイミング?なんて言う?
さえぎってしまうのはかえって失礼じゃない?
頭の働いていない私が、そんな決断をできるわけもなく。
どうしよう、どうしよう。と悩んでいると、
唯一うつに気付いてくれていた管理職T先生が、生徒指導を割り振ってあった先生に声をかけてくれたらしく、
その方がノーマイクでピシッときめてくれました。
助かった…有り難い。
と、素直に感謝するだけでいいのに、
あいも変わらず私は「本当は私が動かなきゃいけなかったのに」と自分を責めて鬱々としていたのでした。
反省は後でしろ!集中しろ!と今は言ってやりたい。
3つ目のトラブル、そして叱られる
最後のトラブルは、お客様の移動のタイミングを間違えたことでした。
生徒の移動の動線とかぶらないよう配慮しなければならないのに、
この時点ですでに頭が真っ白になっていた私は、
完全にそのことを失念していました。
頭フリーズ、思考停止。
あ、と思ったその瞬間。
「何考えてるんだ!」
「お客様が先に決まってるだろ!」
と大きな怒鳴り声。
声の主は同じ分掌の先輩でした。
いや、怒鳴り声、というと被害者意識が強すぎますね。
私のミスを、他人事と思わず指摘してくれたことは感謝しなきゃいけません。
でもこのときの私は、その場に立っているだけで精一杯でした。
ただでさえ鬱になってから人の怒る声には敏感になっていたのに、
全校の前で大声で怒られてしまったことで、頭はさらに真っ白でした。
何が起きたか分からないまま、なんとか先輩とお客様に謝って、マイクで生徒に指示も出しました。
確かに自分の声で話しているんだけど、自分の意識はそこにないような感じで、耳も視界もぼーっとしていたのを覚えています。
職員室に戻る間、何人かの先生に声をかけられました。
「あんなに怒ることでもなかったよね」
「他の分掌のメンバーが何もしなすぎだよ」
「全然大丈夫、気にするほどのことじゃないよ!」
みんなフォローしてくれたけど、
どの言葉も私には本当の言葉に聞こえなくて。
私があまりにも無能でかわいそうだから、優しくしてくれてるんだ…なんて、、
なんて被害者意識が強いんだろう。
怒鳴ってくれた先輩
その先輩からも、話しかけられました。
「自分のクラスの生徒たちもうるさかったし、イライラしちゃってさ、ごめんね。」
「役割分担、次からはもっと一緒に考えるようにリーダーにも話そうね。」
泣いてしまいました。
同僚の前で泣いたのは初めてでした。(職員室でふいに涙が出てしまうことはあったけど、こんなに面と向かって泣くのは初めてでした。)
その先輩は、どの学校でも必ず1人いる、すぐ怒る先生でした。
会議のときに誰も言えない本音を管理職に言ってくれたり、
職員室でも気づいたことをすぐ大声で怒ってくれたり。
煙たがる人も多かったけど、私はそういう人に憧れも持っていました。
気まずいだろうに、声をかけてくれた。
私が悪いのに。
すごいなぁ、勇気がある。芯がある。
私にはできない。
泣いてしまったことで誤解を生んではいけないので、鬱のことを話そうかと思ったけど、結局言えませんでした。
でも、自分のこととして流れを考えていてくれたことに感謝をして、ありがとうございますと伝えることはギリギリできました。
自律神経迷走
そのあと、お客様の控室に言って謝ったり、管理職に全体の報告をしたり。
慌ただしく走り回りました。
帰りの時間になったら自分のクラスに行ってホームルームもしなきゃいけない。
頭が真っ白、パニックになったまま、
一息もつけないまま、行事の進行をしていきました。
途中、誰もいない(であろう)階段をのぼっているとき、
身体がグラッと傾きました。
目の前が真っ白になって、耳が聞こえなくなりました。
その場でとっさにしゃがめたのが幸いでした。
冷や汗が止まらなくなりました。
お腹が下ってくる感じがしました。
寒気というか、身体がゾワゾワする感じがしてきて、いてもたってもいられなくなりました。
その場でうずくまって、しばらく泣きました。
誰か来たらどうしようと思いつつも、
誰かに気づいてほしいとも思っていました。
とりあえず少し落ち着いてから、お腹を下しそうだったのでトイレにかけこみました。
ホームルームがある。
私には逃げる勇気はない。
いつも通りを装わなくちゃ。
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このとき、誰かに助けを求められていたら良かったのかもしれません。
それが私の最大の弱点だったんだと思います。